設計業務の流れ
1.調査・企画
クライアントの要望を聞き、敷地の環境ー自然環境・生活環境・社会環境や法的条件の調査を行います。
2.基本計画
調査結果を基にクライアントの要望を聞き、フィードバックしながら数案のプランを創ります。
3.基本設計
数案の中から収束してきた原型プランを基に、立体的な構成も検討しながら、現実的生活上の機能など多岐に渡る検討を進めていきます。
クライアントとの何度かのフィードバックを繰り返しながら、基本設計が完成します。この頃には模型やスケッチパースなどの確認作業が行われます。 3~4ヶ月くらいかかります。
4.実地設計
基本設計だけでは建物の施工はできません。基本設計を基に設計の意図やクライアントと設計者の想いを施工者に伝えるための詳細な設計図面が必要です。
施工者が工事費を正確に詳細に見積るためにも必要です。クライアントへの途中報告や新たな要望を取り入れながら進みます。
最終的にはスイッチ・コンセントの位置から、家具・設備機器の確認といった作業を経て実施設計が完成します。調査・企画からここまで6ヶ月くらいかかります。
5.積算・施工業者決定
実施設計図面を基に施工会社に詳細な見積りを依頼します。
施工者は建築主や知人の紹介、地元で評判の良い会社、設計者の紹介など相談の上で数社(普通は3~5社程度)を選択します。
見積りには2週間程度かかります。
この間に建築確認申請を提出し検査機関の確認を取得します。
各社の見積りが出揃ったら、見積り内容が妥当かどうかや落としや拾い過ぎがないかを精査します。
予定コストをオーバーするようなら、業者の見積り内容の見直しや工法・仕様の変更など減額案の提示を粘り強く繰り返します。
コストが合意し、見積書・施工能力・人柄に最も信頼のおける業者を施工者に決定します。
6.工事監理
工事会社が決まり建築確認申請が下りたら、工事会社と契約をします。そしていよいよ着工です。
設計図があればその通りに建物が建つとは限りません。設計図に表現しきれなかった納まりや工事途中の変更、業者の手抜きなどなど現場で確認・監視しなければならないことはたくさんあります。現場での三位一体(建築主・設計者・施工者)の想いや情熱が建物に魂を吹き込むのだと思います。
上棟までは建物の配置・基礎の配筋・コンクリートの品質・打設・木組みの施工図などの検査・確認をします。
上棟後は週1回のペースで現場定例会議を行います。工事工程・詳細納まり・施工図・設備工事との取り合い・材料の品質検査・材料見本の提出・色彩計画・建築主の希望・変更への対応などあらゆることが議題となり話し合われ、そして決定されていきます。定例会議には必要に応じて建築主も参加します。
遠距離の場合、現場会議をFAX・電子メール・デジタル写真・資料の宅配送付などで対応することも可能です。
7.竣工・引渡し
工事完成にあたり建築確認検査機関の完了検査・設計事務所検査・建築主検査を経て、施工者から建築主に建物の引渡しが行われます。調査・企画から完成まで12ヶ月くらいかかります。
よくあるご質問
建築設計ご依頼の際によくある質問にお答えします。
具体的なご質問はお電話・メールでお問い合わせください。
A.設計事務所は住宅を建てるために専門家としての
提案やアイディアを提供し、住宅環境を構築していきます
一般に設計事務所や建築家に依頼するのは、いわゆる豪邸や変わった家を建てたい人や、また設計事務所は大きなビルや施設を建設するのに必要な業務だと思われている人も多いかと思います。しかし住宅は建築の基本であり住宅こそ設計者にとってあらゆる営みの原点とも言うべき作業です。工務店や住宅メーカはその性格上収益を上げることが使命であり、いかに早く利益が上げられるかがその存在意義といっても過言ではありません。
それに対し設計者はあくまで建築主の立場で、その家族に相応しい住宅を建てるために専門家としての提案やアイディアを提供し、共にその住宅環境を構築して行くことが使命です。そしてその実現のためにコストをいかに抑えられるかを追求していきます。
建築工事会社が決まったら建築主の代理者として施工者と打合せ交渉をしていきます。それゆえ建築主と設計者との信頼関係が最も重要になります。
よく工務店や住宅メーカーは設計料はサービスですとか、大変安い設計料を提示したりするようです。しかしそれは「間取りの打合せだけで設計はしていません」「お客さんの言うなりに建てます」「早く契約して工事に入るために余計な提案はしません」と言っているのと同じことです。設計料に仮に総工事費の10%かかったとします。しかし施工業者の詳細見積りをチェックすることで10%以上の工事費の削減ができることはよくあることです。
良い設計事務所に依頼することで建築主の意に叶った住宅が適正なコストで手に入るというのが本来のあり方だと思います。その仕組みが日本ではなかなか定着していないのが実情です。
A. 住むための「設備、収納、外構」をすべて含んでの坪単価です
建築費を坪単価で言うのは大変難しいことです。同じ坪単価でもその工事費に含まれる内訳が違うからです。
たとえば建売住宅などで坪単価40万、50万といっても照明器具・エアコン・床暖房などの設備、クローゼット・食器棚などの収納家具、植栽・門扉・塀などの外構工事のどこまでが含まれているかが問題です。実際に引っ越して住むためには、工事費の他に家具や設備に数百万必要で、全部含めると坪単価70万、80万になっていたということもあります。
私共の事務所ではあえて坪単価と言うと、住むための「設備、収納、外構」をすべて含んでの坪単価です。(もちろん冷蔵庫・洗濯機などの電化製品、食器などの什器は除きますが。) 木造の場合坪単価60~80万、鉄骨造で70万~90万、RC造で80万~120万程度が目安になります。(首都圏の場合です。地方では実際にはもっと低い単価になっています。)
A. 木造戸建住宅の場合総工事費の10%程度が目安です
木造戸建住宅の場合総工事費の10%程度が目安です。いろいろな諸条件を協議の上、決めさせていただいております。
非木造の場合は構造計算等の費用が別途かかるので若干プラスになることがあります。いずれにしても総予算等含めて御相談の上、決定しています。
A.設計監理業務は遠隔地でも、スムーズな打合せが可能です
設計監理業務は遠隔地でも可能です。今はメール・FAX・デジタルカメラなどを駆使してクライアントとも工事現場ともスムーズな打合せが可能です。最近は近くてもメールのやり取りが多くなっていますので、あまり距離による不都合は感じません。むしろメールのほうが言いたいことを言い合えることもあります。
しかしメールだけでは微妙なズレが生じますので、時々実際に会う必要があります。遠隔地の場合最初の出会いの後はメールや資料の郵送などで作業を進め、会う必要が生じた時に実際に会うというやり方で充分進められます。
現場の状況もデジタルカメラで撮った写真をメールで送ってもらいリアルタイムで確認できます。
実際に静岡県熱海市、千葉県館山市、長野県小諸市、北海道札幌市などの設計監理業務を経験したことがありますが、遠隔地ということで一回一回のやり取りが丁寧になり近距離よりむしろ充実した設計監理業務ができた感触があります。